■プロローグ


■ある多重債務者の記録 自己破産 

金本弦太(仮名)は東海地方A市に住む30歳代後半の青年である。
かつて東京で、私の部下として働いていた。酒好きで、明るくひょうきんな男であった。

今から10年ほど前、私が小さな会社を興した際には、社員として参加してくれた。
2年ほど働いていたが、突然鬱状態になり休職という事で郷里のA市に帰っていった。

当時金本君の父親は存命であり、ご自身の身近なところで、息子の鬱を直したいという意向があり、退職届が送られてきた。暫く静養の後、そのまま郷里で職を得たのだが、長続きはせずいくつかの職場を渡り歩いていたようだ。

父親が他界し、勤めていた会社が倒産したころだったろうか、働く意欲も失せ いわばニートの生活となってしまった。

私も気がかりであったので時折連絡をして、気晴らしの上京を促したりしていた。
交通費程度の金を渡し、簡単な作業をしてもらってもいた。酒席を共にした折には、 独立して仕事をすると壮語を吐いたり、消沈の状態であったりと、心が揺れているのが見て取れた。

将来をどのように考えているのか、聞いてみたことがある。結婚は諦めている、ニートの生活から抜けたいのだが、今はその意欲が持てないという。実は自己破産をしたのだという。

聞けば自己破産をするほどの大金ではない。返済可能な金額なのである。さしたる金額ではなくても、自己破産をしてしまったほうが気楽だという安易さが、私には気にかかるのであった。

自己破産に至る彼の葛藤を一問一答の形式で綴ってもらった。具体的には私が質問をメールで投げかけて、それに返信をもらうという方法である。

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■自己破産に至るまで
若者はなぜ自己破産の道を選んだのか